グレーゾーン業務への考え方

グレーゾーン業務への考え方

私たちケアマネジャーの仕事は、介護保険制度の下でご利用者様の暮らしを支える事ですが、ご利用者様やご家族様との関わりの中で、時に「どこまで対応してよいのか分かりにくいご要望(グレーゾーン業務)を頂くことがあります。
ここでは代表的なグレーゾーン業務の例を挙げて、当事業所の対応方針をお知らせします。


主なグレーゾーン業務と、そ・ば・にの対応方針

  1. お金や通帳の管理
    例:家賃や光熱費の支払いや立て替え
    → ケアマネが財産を直接預かることはできません。代わりに「日常生活自立支援事業」や成年後見制度など、安心できる公的な仕組みをご紹介します。
  2. 契約や手続きの代理
    例:入院や施設入所の契約書や同意書への署名行為
    → 法律上の代理権がなければできません。必要な場合はご家族や成年後見人など、正しい代理人の選任を一緒に進めます。
  3. 医療行為
    例:注射や褥瘡(床ずれ)の処置
    → 医師や看護師の仕事にあたるためできません。私たちは医療職と密に連携し、必要な医療が受けられるよう調整します。
  4. お薬の分包や調整
    例:処方薬を袋に小分けして渡す
    → これは薬剤師の仕事になります。ケアマネは薬剤師や訪問看護と連携し、服薬が安心して続けられるよう支援します。
  5. 送迎(通院や買い物の送迎)
    例:事業所の車で定期的に通院送迎
    → 法律上「運送業務」にあたるため、ケアマネが繰り返し行うことはできません。必要に応じて介護タクシーや訪問介護の「通院等乗降介助」をご案内します。
  6. 家事の代行
    例:掃除や洗濯、買い物や、入院・入所中の荷物の届け
    → 家事援助は訪問介護のサービスです。また入院・入所中の荷物届けはご家族様等が実施するか、それが無理な場合は自費サービス等を紹介致します。
  7. 鍵の預かりや緊急駆けつけ
    例:合鍵を預かって安否確認に行く
    → 紛失やトラブル防止のため、原則お引き受けしていません。必要がある場合は、定期巡回サービスや見守り機器などの仕組みをご提案します。
  8. 住宅改修や福祉用具販売への関与
    例:工事・販売自体への関与
    → 利益相反や不公平を避けるため行いません。複数事業者を紹介し、ご利用者様やご家族様等が公正に選べるよう支援します。
  9. 特定の事業者への誘導や見返り受領
    例:紹介料を受け取る代わりに一社だけを勧める
    → 公正中立の立場を守るため一切行いません。必ず複数の選択肢をご提示し、利用者さまが納得して選べるようお手伝いします。
  10. 過度な苦情対応やカスタマーハラスメント
    例:夜間や休日に繰り返しの暴言・電話への個人対応
    → 担当ケアマネではなく、事業所として対応します。必要に応じて行政や警察とも連携し、職員の安全とサービスの継続を守ります。

法的根拠と当事業所の姿勢

  • ケアマネジャーの業務は「介護保険法」「居宅介護支援の運営基準」に定められています。
  • 医療行為は「医師法」、調剤は「薬剤師法」、送迎は「道路運送法」など、それぞれの専門職や制度の範囲が明確になっています。
  • 当事業所はこれらの法律や基準に則り、公正・中立・安全を守ることを第一に考えています。

    最後に
    利用者様やご家族様の「困った」を放っておくわけではありません。
    「それはできません」とお伝えする際も、代わりとなる安心できる制度やサービスをご提案し、一緒に解決策を探していきます。